子どもが生まれると、多くの家庭が一度は検討するのが学資保険です。私もそうでした。第一子のために学資保険に加入し、毎月コツコツと保険料を払っていた時期があります。
しかし2022年、家計全体を見直したことをきっかけに、私はその学資保険を解約しました。そして解約して戻ってきたお金を、当時まだ利用できたジュニアNISAに全額移しました。
結論から言えば、この判断は私にとって正解でした。今では、あのまま学資保険を満期まで続けていた場合の受取予定額を、ジュニアNISAで運用している金額がすでに上回っています。
ただし、これは投資の時期がたまたま良かった面も大きいので、誰もが同じ結果になるとは思っていません。それでもなお、私は「教育費の準備は学資保険よりもNISA中心のほうが合理的」と考えています。
この記事では、学資保険とNISAをフラットに比較しながら、私が解約という判断に至った理由と、これから教育費を準備する方が押さえておきたい考え方を整理します。
そもそも学資保険とは何か|「保障」と「貯蓄」がセットになった商品

学資保険は、子どもの教育資金を準備するための保険です。毎月保険料を払い込み、進学のタイミングや満期で祝い金・学資金を受け取れる仕組みになっています。
最大の特徴は、保険料の払込期間中に契約者(親)が亡くなったり高度障害になったりした場合、その後の保険料の払い込みが免除され、それでも予定どおり学資金を受け取れる点です。つまり学資保険は、「コツコツ貯める貯蓄機能」と「親に万一のことがあったときの保障機能」がセットになった商品だと言えます。
この「保障と貯蓄がセット」という点が、後ほど述べる私の考えの出発点になります。先に結論の方向性だけお伝えすると、私はこの2つを1つの商品にまとめることに、効率の面で疑問を持っています。
学資保険の返戻率の現状|思ったより増えない

学資保険を選ぶときによく見られるのが「返戻率」です。返戻率とは、払い込んだ保険料の総額に対して、最終的に受け取れる学資金の総額が何パーセントになるかを示す数字です。返戻率が110%なら、払った額の1.1倍が戻ってくるということになります。
では、今の学資保険の返戻率はどのくらいなのでしょうか。
返戻率の高さで知られる商品では、明治安田生命の「つみたて学資」が2025年10月時点で最高129.2%、ソニー生命の学資保険も123%台と紹介されています。数字だけ見ると魅力的に思えるかもしれません。
しかし、ある比較記事では、検証した9商品のうち返戻率115%以上だったのはわずか2商品で、なかには100%程度のものもあったと報告されています。つまり、高い返戻率はごく一部の商品に限られ、多くは「払った額より少し増える程度」が実態です。
さらに注意したいのは、高い返戻率を実現するには条件があるという点です。返戻率を高くするには保険料を短期間で払い終える「短期払い」などの設定が必要になることが多く、その分、毎月の家計負担が重くなります。負担が重くて途中で払えなくなり、解約して元本割れする、という失敗も起こり得ます。
ここで一度立ち止まって考えたいのは、「10年以上という長い時間をかけて、増えるのが数パーセントから良くて2割強」という水準を、どう評価するかです。
NISAで教育費を準備するという選択肢

学資保険の代わりに教育費を準備する方法として、近年よく挙げられるのがNISAです。
NISAは投資で得た利益が非課税になる制度で、現在の新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて生涯1,800万円まで非課税で運用できます。教育費の準備として、全世界株式や米国株式のインデックスファンドを毎月積み立てていく、という使い方が代表的です。
NISAと学資保険の決定的な違いは、リターンの性質です。学資保険は契約時点でおおよその受取額が確定する「元本確保型」に近い商品です。一方でNISAは投資なので、市場が下がれば元本割れもあり得ますが、長期で見れば学資保険を大きく上回るリターンを期待できる可能性があります。
ここで両者の違いを整理しておきます。
| 比較項目 | 学資保険 | NISA(インデックス投資) |
|---|---|---|
| お金が増える期待 | 低め(良くて2割強) | 高め(長期で大きく増える可能性) |
| 元本割れリスク | 低い(途中解約時を除く) | あり(市場次第) |
| 親に万一のときの保障 | あり(払込免除) | なし(別途、掛け捨て保険で対応) |
| 引き出しの自由度 | 低い(満期・祝い金時) | 高い(いつでも売却可) |
| 手数料 | 保険会社の運用コストが内包 | 低コストファンドを選べる |
| 強制力(続けやすさ) | 高い(解約しにくい心理が働く) | 自分次第(自動積立で補える) |
この表を見ると、それぞれに長所と短所があることがわかります。NISAは「増える期待が高い」反面「元本割れリスクと保障の欠如」があり、学資保険は「安心感と保障」がある反面「増えにくく自由度が低い」という構図です。
私が学資保険を解約してジュニアNISAに移した話

ここからは私自身の実体験です。
第一子のために、私はある学資保険に加入していました。子どもが18歳になる時点での返戻率は、たしか130%くらいだったと記憶しています。当時の感覚としては「悪くない数字」だと思っていました。
転機になったのは2022年です。私はこの年、家計全体を本格的に見直しました。何にいくら使い、何に備えているのかを棚卸ししていく中で、学資保険についても「これは本当に効率の良い置き場所なのか」と立ち止まって考えました。
同じころ、私は死亡・医療・介護・傷害の4本の民間保険に入っていましたが、家計管理を進める中でそれらをすべて解約し、子どものために掛け捨ての死亡保険1本だけに再構築しました。公的保険という土台を理解すれば、民間保険は足りない部分だけを最小限で補えばよい、という考えに整理がついたからです。この保険の見直しと学資保険の見直しは、私の中では地続きの話でした。
そして私は学資保険を解約し、戻ってきたお金を、2022年と2023年にジュニアNISA(子ども名義)で運用に回しました。当時ジュニアNISAは2023年末での新規買付終了が決まっていましたが、最後の枠を使い切る形で活用しました。
結果として、現時点で、あの学資保険を満期まで払い続けていた場合の受取予定額を、ジュニアNISAでの運用額がすでに上回っています。
ただし、これは正直に書いておかなければなりません。私が投資したタイミングは、その後の相場が大きく伸びる局面と重なった、極めて運の良いケースでした。これから同じだけの成績を誰もが再現できるとは思っていません。投資である以上、タイミングによっては逆の結果もあり得ます。
それでも私が「NISA中心で良い」と考える理由は、リターンの大小そのものではありません。手数料を払って保険会社に運用してもらうくらいなら、低コストのインデックスファンドを自分で持って運用したほうが、コストの面でも自由度の面でも理にかなっている、と考えるからです。
学資保険にも、ちゃんと良いところはある

ここまでNISA中心の話をしてきましたが、学資保険を否定したいわけではありません。学資保険には、NISAにはない確かな長所があります。要点だけ簡潔に整理します。
第一に、強制力です。一度契約すると「解約するともったいない」という心理が働き、結果的に教育費を最後まで守り抜きやすくなります。投資だと相場が下がったときに売ってしまう人にとっては、この強制力は大きな価値です。
第二に、元本確保に近い安心感です。満期まで続ければ、受け取れる額がおおよそ読めます。「子どもの教育費だけは絶対に減らしたくない」という方にとって、この予測可能性は何にも代えがたい安心になります。
第三に、親に万一のことがあったときの保障です。払込免除特約により、契約者が亡くなっても学資金は予定どおり受け取れます。これはNISAにはない、保険ならではの機能です。
つまり、「相場の上下に耐える自信がない」「とにかく確実に、強制的に貯めたい」という方には、学資保険は今でも十分に検討する価値のある選択肢です。大切なのは優劣ではなく、自分の性格と家計に合うかどうかです。
私のたどり着いた答え|「保障」と「運用」を分ける
私の考えをひと言でまとめると、「教育費は”保障”と”運用”を1つの商品に詰め込まないほうがうまくいく」ということです。
学資保険は、保障と貯蓄を1つにまとめた商品です。一見、効率が良さそうに見えます。しかし実際には、保障の部分にコストがかかるぶん運用の効率が下がり、運用に寄せると今度は保障が中途半端になる、という綱引きが起きがちです。1つの商品で2つの目的を同時に最大化するのは、構造的に難しいのです。
だから私は、この2つを分けました。
✅ 教育費の運用 → NISAでカバー(低コストで、増える期待を取りに行く)
保障は保障の専門商品で、運用は運用の専門商品で。それぞれを最も効率の良い形で持つ。これが、保険の見直しから教育費の準備まで一貫している、私の家計の考え方です。
そしてこの考え方は、私がずっと大切にしている家計の哲学とも一致しています。家計の主役は、収入と支出のコントロールです。投資のリターンも保険の返戻率も、しょせんはおまけにすぎません。だからこそ、おまけの部分で無駄なコストを払わないように、シンプルに分けて持つのが良いと考えています。
これからの教育費準備|児童手当と2027年の「こどもNISA」
最後に、これから教育費を準備する方に向けて、今の制度環境を整理しておきます。
まず児童手当です。2024年10月の制度改正で、児童手当は大きく拡充されました。3歳未満は月1.5万円、3歳から高校生世代までは月1万円(いずれも第3子以降は月3万円)が、所得制限なしで、偶数月の年6回支給されます。加えて2026年春には、子ども1人あたり2万円の一時金(所得制限なし・申請不要)の支給も始まっています。
この児童手当をそのまま使わず、教育費の運用に回すというのは、有力な作戦です。仮に月1万円を投資に回せば、それだけでも長い時間をかけて教育費の大きな部分をまかなえる可能性があります。
そしてもう一つ、注目したいのが「こどもNISA」です。2025年12月に閣議決定された2026年度税制改正大綱に盛り込まれ、2027年から0〜17歳を対象に開始される見込みの新制度です(現時点では仮称で、詳細は今後確定します)。ジュニアNISAと違い、条件を満たせば12歳以降に引き出せ、非課税の保有期間も無期限とされ、18歳になると通常のNISAに自動移行する方向で検討されています。
実は私自身、下の子の教育費は、この2027年開始予定のこどもNISAで運用していく予定です。上の子のジュニアNISAでの経験を踏まえ、子どもごとに非課税の枠を活用していく考えです。
なお、大学にかかる費用の目安は、国公立で4年間およそ240〜250万円、私立文系で約400万円、私立理系で500万円超とされています。ゴールの金額感を把握したうえで、児童手当やNISAをどう組み合わせるかを設計していくと、準備が現実的になります。
まとめ|あなたに合うのはどちらか
学資保険とNISA、どちらが絶対的に正解ということはありません。最後に、選び方の目安を整理します。
学資保険が向いているのは、相場の上下に一喜一憂したくない方、強制力がないと貯められない方、確実性を何より重視する方です。
NISA中心が向いているのは、長期で増える期待を取りに行きたい方、手数料を抑えたい方、自分で自動積立を続けられる方です。そして保障は、学資保険に頼らず掛け捨ての死亡保険で別に確保すれば、より効率的に備えられます。
私自身は、学資保険を解約してNISAに分離する道を選びました。「保障」と「運用」を分けて、それぞれを最も効率の良い形で持つ。この考え方が、私の家計には合っていました。
あなたのご家庭ではどうか。この記事が、その判断材料の一つになればうれしく思います。
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