子どもが生まれた瞬間から、教育費という長期戦が始まります。
わが家には5歳と0歳の子どもがいて、上の子の大学卒業まで残り18年、下の子は23年。気が遠くなる時間軸ですが、逆に言えば、いま動けば間に合う期間でもあります。
2026年4月から私立高校の授業料も所得制限なしで無償化され、2025年度からは多子世帯の大学無償化もスタートしました。「無償化で大丈夫」「足りなければ奨学金がある」という声を見かけることも増えています。
ただ、私は少し違う見方をしています。制度は変わる前提で動くべきだし、奨学金は子どもの借金です。子どもに数百万円の借金を背負わせて社会人をスタートさせない、というのがわが家の方針です。
無償化に頼り切る家計設計はリスクが大きいと感じています。2024年度までは私立高校無償化に年収910万円の所得制限がありました。それが2026年4月から完全撤廃へ。わずか2年で制度が大きく変わったわけです。10〜15年後に同じ制度が残っている保証はどこにもありません。
奨学金についても、平均借入額313万円・返済15年という数字を見ると、子どもの社会人スタートを大きく重くする選択だと感じます。社会人1年目から毎月1〜3万円の返済が、結婚や住宅購入のタイミングまで続く生活。これを子どもに引き受けさせない選択肢を、親世代が15年かけて作っておけるかどうか。
この記事では、30代共働き・3級FP資格保有・NISA運用4年目の私が、高校・大学費用をどう設計しているかを共有します。中学受験費用の積み立て記事で確立した「3つの財布(児童手当・NISA・現金)」フレームを、高校・大学にスケールアップした内容です。
借りる/借りないは各家庭の判断です。ただ、「借りなくて済む状態」を15年かけて作っておく選択肢は、誰にでも開かれています。本記事が、その選択肢を持つきっかけになれば嬉しいです。

高校・大学費用、実際いくらかかるのか(2026年版)
まず数字を直視するところから始めます。文部科学省と日本政策金融公庫のデータをもとに、2026年時点の最新の費用感を整理しました。
公立高校3年・私立高校3年
公立高校の授業料は年11万8,800円ですが、2025年度から所得制限なしで国の就学支援金がこの全額を賄うため、授業料は実質無料です。ただし授業料以外の費用(教材費・修学旅行費・部活動費・通学費など)は自己負担で、3年間で約100万円かかります。
私立高校は2026年4月から所得制限が撤廃され、全世帯に年45万7,200円(全国平均授業料相当)が支給されることになりました。ただし、これは授業料部分のみです。文部科学省の調査によると、私立高校3年間の学習費総額は平均307.7万円で、授業料が無償化されても入学金・施設費・教材費・制服代などで100万円以上の自己負担が残ります。
私立高校によっては、授業料以外の「設備費」「教育充実費」が年30〜40万円かかるケースもあり、3年間で見ると公立との差は依然として大きいのが現実です。
国立大学4年・私立文系・私立理系
大学費用は学費だけでも幅が大きく、進路によって2倍以上の差が出ます。文部科学省データをもとに、4年間の学費総額をまとめました。
| 進学先 | 入学金 | 4年間授業料 | 4年間総額(諸経費含む) |
|---|---|---|---|
| 国立大学 | 28.2万円 | 約214.3万円 | 約242.5万円 |
| 公立大学 | 約22.5万円〜38.8万円 | 約214万円 | 約245.5万円 |
| 私立文系 | 約25万円 | 約350万円 | 約408〜418万円 |
| 私立理系 | 約25万円 | 約480万円 | 約551〜567万円 |
| 私立医歯系(6年) | 約100万円〜 | – | 約2,396万円 |
国立大学でも、2025年度から東京大学が授業料を年64万2,960円に引き上げるなど、値上げの動きが出ています。標準額の120%まで各大学が改定できる仕組みなので、国立=安いという前提は今後揺らぐ可能性があります。
4つの進学コース別・総額シミュレーション
子ども1人を高校入学から大学卒業まで(7年間)育てた場合、進路選択によってどれくらい総額が変わるかを試算しました。
| 進学コース | 高校3年 | 大学4年 | 7年総額目安 |
|---|---|---|---|
| オール公立 | 約100万円 | 約242万円 | 約342万円 |
| 私立高→国立大 | 約308万円 | 約242万円 | 約550万円 |
| 私立高→私立文系 | 約308万円 | 約418万円 | 約726万円 |
| 私立高→私立理系 | 約308万円 | 約567万円 | 約875万円 |
この数字は授業料・施設費などの「学費」のみです。塾代・予備校・受験費用・自宅外通学なら生活費が、ここにさらに乗ります。自宅外通学の場合は4年間で生活費だけで400〜500万円が上乗せされるイメージです。
つまり、子ども1人を大学まで進学させるには、最低でも500万円、私立理系で自宅外なら1,300万円超が必要になる計算です。
高校入学までにかかる「隠れ費用」も無視できない
ここまでは高校以降の費用を扱いましたが、実際には高校に入る前段階で発生する費用も大きいです。
- 高校受験の塾代:中学3年間で50〜100万円(通塾頻度による)
- 受験料:公立1校+私立2〜3校で4〜6万円
- 入学準備金(制服・教材・通学用品):8〜15万円
中学受験を選択した場合は、SAPIX等の大手塾で3年総額200〜260万円が追加でかかります。
これらを含めると、子ども1人が大学を卒業するまでにかかる教育費は、最も少ないオール公立コースでも約400万円超、私立コース×自宅外通学なら1,400〜1,600万円規模になります。
子ども2人なら、その2倍
わが家は5歳と0歳の2人です。仮に2人とも私立高校→私立文系のコースを選んだ場合、世帯としての7年間総額は約1,450万円になります。さらに塾代や受験費用、自宅外通学になれば、世帯総額は2,000万円を超える可能性もあります。
ここまでの数字を見て「やっぱり無理かも」と感じる方もいると思います。ただ、18年あれば月3万円の積立で1人分は十分備えられるのも事実です。次の章から、その具体設計に入っていきます。
📌 数字の出典について
本記事の高校・大学費用データは、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」「私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査結果」「国公私立大学の授業料等の推移」を基準にしています。授業料は2026年度の制度改正を反映済みです。

2026年の無償化制度・その限界
「無償化されるから大丈夫」と言われがちですが、現場の数字を見ると、無償化されない部分の方が大きいケースも珍しくありません。制度の中身を正確に理解しておく必要があります。
高校無償化(2026年4月から私立も所得制限撤廃)
公立高校は2025年度から、私立高校は2026年4月から、所得制限なしで授業料が実質無償化されました。
- 公立高校:年11万8,800円(授業料全額)
- 私立高校:年45万7,200円(全国平均授業料相当)
ただし、これはあくまで「授業料」のみです。私立高校の場合、授業料以外に以下の費用が自己負担で残ります。
- 入学金(平均約16万円)
- 施設費・設備費(年20〜40万円)
- 教育充実費(年5〜20万円)
- 制服・体操服・教材費(初年度約10〜15万円)
- 修学旅行費(3年間で15〜30万円)
- 部活動費(年5〜20万円)
- 通学定期(地域・距離による)
私立高校の平均授業料が全国平均より高い学校では、差額分も自己負担になります。たとえば年間授業料60万円の私立高校なら、無償化分45.7万円を引いた14.3万円が毎年かかる計算です。
大学無償化(多子世帯3人扶養で所得制限なし)
2025年度から、扶養する子どもが3人以上の多子世帯は所得制限なしで大学等の授業料・入学金が一定額まで無償化されました。
ただし、ここに「同時扶養」という重要な条件があります。
- 第1子・第2子・第3子の全員が同時に扶養されていることが条件
- 第1子が大学を卒業して扶養から外れると、その時点で「3人扶養」の条件を満たさなくなる
- その結果、第2子・第3子も支給対象外になる
つまり、子どもが3人いても、年齢が離れていれば実際には大学無償化の恩恵を受けにくい設計です。
わが家は子ども2人なので、そもそも多子世帯非該当です。大学無償化は最初から「ないもの」として家計設計するしかありません。
無償化されない費用が、実は重い
高校でも大学でも、無償化されるのは授業料部分のみです。受験費用、入学金、施設費、教材費、通学費、そして自宅外通学なら家賃・生活費。これらは全て自己負担です。
特に大学の自宅外通学は、4年間で生活費だけで400〜500万円が追加でかかります。これは授業料を超える金額です。
⚠️ 制度は政権・財政状況で変わる
2024年度までは私立高校無償化に年収910万円の所得制限がありました。それが2026年4月から完全撤廃へ。わずか2年でルールが変わったわけです。今は手厚い制度も、子どもが進学するタイミングでどうなっているかは誰にも分かりません。「制度に乗っかる前提」より「制度がなくても備える前提」で動く方が安全です。

奨学金と教育ローンの現実を直視する
ここが、私がこの記事で一番伝えたい部分です。
「足りなければ奨学金がある」「教育ローンを使えばいい」という声をよく聞きます。実際、選択肢としては存在します。ただ、その中身を数字で見ると、想像以上に重い借金であることが分かります。
奨学金の現実(大学生の55%が利用・平均借入額313万円)
日本学生支援機構(JASSO)の令和4年度学生生活調査によると、大学昼間部の学生の55.0%が奨学金を利用しています。大学生の約2人に1人が借りているという状況です。
JASSO公表データによる平均借入額と返済期間は以下のとおりです。
| 区分 | 平均貸与総額 | 平均返還年数 |
|---|---|---|
| 全体平均 | 313万円 | 15年 |
| 第一種(無利子) | 202万円 | 14年 |
| 第二種(有利子) | 333万円 | 17年 |
労働者福祉中央協議会の調査では、奨学金の平均借入総額は324.3万円、借入総額が500万円を超える人は12.4%にのぼります。
第二種奨学金は「子どもの借金」
ここで重要なのは、奨学金の名義は子ども本人ということです。親ではなく、子どもが借りる借金です。
第二種奨学金(有利子)は、平均333万円を17年かけて返済する計算になります。大学卒業時に22歳、返済が終わるのは39歳。社会人スタートからほぼ40歳直前まで、毎月の返済が続きます。
具体的な月額返済額をシミュレーションすると、こうなります。
- 借入200万円:月々約1万2,000円(15年返済)
- 借入300万円:月々約1万7,000円(17年返済)
- 借入500万円:月々約2万8,000円(20年返済)
社会人1年目の手取り18〜20万円の中から、毎月1〜3万円の返済が引かれる生活。これが10年以上続きます。
奨学金返済が人生に与える影響
奨学金返済が、子どものその後の人生にどう影響するか。これは数字以上に重い問題だと考えています。
- 結婚を躊躇する(返済が終わるまで結婚しないという選択)
- 出産・育児を後ろ倒しにする(返済負担で家計に余裕がない)
- 住宅購入のローン審査で不利になる(既存借入として扱われる)
- 転職・独立に踏み切れない(返済を最優先せざるを得ない)
- 結果として、子どもの「次の世代」の教育費が圧迫される
奨学金返済は、社会人スタートから15〜17年、つまり子どものライフイベントが最も多い時期と完全に重なります。
実際、私の周りでも奨学金返済を抱えながら社会人生活をスタートした人を何人も見てきました。20代後半で結婚を考えるタイミング、30代前半で住宅購入を検討するタイミング、いずれも「奨学金返済があるから」という理由でブレーキがかかる場面は珍しくありません。
返済額が月2万円だとしても、年間24万円。10年で240万円。これだけの可処分所得が、子どもの社会人初期から削られ続けるわけです。複利の逆回転とも言える状況で、この期間に貯蓄や投資に回せたはずの金額の機会損失も含めると、影響は単純な返済額以上に大きくなります。
給付型奨学金は「条件のハードル」が高い
「返済不要の給付型奨学金もある」と聞くこともあります。確かに高等教育の修学支援新制度では、給付型奨学金と授業料減免がセットで利用できます。
ただし、給付型奨学金は世帯収入による厳しい所得制限があり、住民税非課税世帯(年収約270万円未満)が満額対象です。中間所得層まで対象が広がったとはいえ、年収600万円程度が上限の目安。共働きで世帯年収が一定以上ある家庭は、ほとんど対象外になります。
つまり、共働き家庭にとって現実的な選択肢は、第二種(有利子)の貸与型奨学金が中心です。これは前述のとおり、平均333万円・返済17年の借金です。
教育ローンの現実(親が借りる・金利3.55%・350万円上限)
奨学金が「子どもが借りる」のに対し、教育ローンは「親が借りる」借金です。
国の教育ローン(日本政策金融公庫の教育一般貸付)は、2026年2月時点で年3.55%の固定金利、子ども1人あたり最大350万円(要件を満たせば450万円)まで借りられます。
200万円を15年で返済すると、月々約1万4,400円、利息総額は約59万円。500万円を借りれば、利息だけで150万円近くになります。
民間銀行の教育ローンはさらに金利が高く、年3〜5%が中心です。
親世代も既に住宅ローンや家計支出を抱えている中で、3〜5%の金利の新規借入を背負うのは、家計への影響が小さくありません。
Daiさんのスタンス:借りる/借りないは家庭次第。わが家は借りない方針
ここで誤解されないよう書いておきます。
奨学金や教育ローンを使う家庭を否定する記事ではありません。経済状況も価値観も家庭ごとに違いますし、選択肢として制度があること自体は、子どもの学ぶ権利を守る重要な仕組みです。
ただ、わが家の方針は明確です。
- 第二種奨学金(有利子の借金)に子どもの将来をかけない
- 教育ローンも最終手段として、なるべく使わずに済むよう備える
- そのために、子どもが18歳になるまでの15〜18年間で計画的に準備する
奨学金返済をする社会人の姿を見てきて、「結婚も家も諦めるか、後ろ倒しにする」リアルがあるのを知っています。子どもには、その選択肢を持たせたまま社会人になってほしい。これがわが家のスタンスです。
「借りる前提」ではなく「借りなくて済む選択肢を持っておく」ための備え方を、次のセクションから具体的に書いていきます。
💡 借りない=ベストではない、という公平性
家庭の事情によっては、奨学金や教育ローンを使う方が合理的なケースもあります。たとえば、親の老後資金を削ってまで教育費に充てるのは本末転倒ですし、子ども本人が「自分で借りて自分で返す」覚悟を持っている場合は、それも一つの選択です。本記事は「借りなくて済む選択肢を持つ」備え方を提案するもので、借りる家庭を批判する意図はありません。

3つの財布 × 15年タイムライン
ここから、わが家が実践している教育費の設計方法を共有します。
中学受験費用の積み立て記事で確立した「3つの財布(児童手当・NISA・現金)」フレームを、高校・大学にスケールアップさせた設計です。
財布①:児童手当(0〜18歳・約234万円)
児童手当は2024年10月の拡充で、所得制限が撤廃され、高校生年代まで延長されました。第1子・第2子の場合、0歳から18歳まで受け取れる総額は約234万円です。
| 子の年齢 | 月額 | 期間合計 |
|---|---|---|
| 0〜3歳未満 | 1.5万円 | 約54万円 |
| 3〜18歳 | 1万円 | 約180万円 |
| 合計 | – | 約234万円 |
わが家の方針は、この234万円は丸ごと「大学初年度納付金」用に確保するというものです。私立大学なら初年度納付金が138万円前後かかります。児童手当で初年度を賄えれば、その後3年間のNISA取り崩しに余裕が生まれます。
具体的な運用は、児童手当を専用口座に入れたまま手をつけずに置いておく、というシンプルな方法です。投資せず現金で持つ理由は、18年後の取り崩しタイミングが確定しているお金だからです。
財布②:NISA(0〜18歳積立・18〜22歳取り崩し)
NISAは教育費設計の主力です。わが家は2022年からNISA運用を始めて、現在4年目。子どものための積立を月1万円〜3万円のペースで継続しています。
18年間、月1万円を年利5%で積み立てた場合のシミュレーション。
- 元本:1万円 × 12ヶ月 × 18年 = 216万円
- 運用益込み(年利5%想定):約350〜380万円
これを18歳から22歳の4年間で計画的に取り崩していくのが財布②の役割です。
| 大学年次 | 取り崩し額の目安 |
|---|---|
| 2年次 | 100〜120万円 |
| 3年次 | 100〜120万円 |
| 4年次 | 100〜120万円 |
| 3年分合計 | 約330〜360万円 |
※初年度納付金は財布①(児童手当)で賄うため、NISA取り崩しは2〜4年次の3年分。
月3万円ペースで積み立てれば、18年間で元本648万円・運用益込み約1,050万円規模になります。これだけあれば、私立大学4年間の学費に加えて自宅外通学の生活費まで含めてカバーできる計算です。
積立額は家計の状況に応じて、月1万円スタートでも構いません。重要なのは、早く始めて長く続けることです。複利は時間が味方になる仕組みなので、5歳児なら18年、0歳児なら22年という長期スパンが、NISAの破壊力を最大化します。
NISAの投資対象は何を選ぶか
教育費目的のNISAなら、つみたて投資枠で全世界株式インデックス(オルカン)かS&P500を中心に据えるのが現実的です。理由は3つあります。
- 低コスト(信託報酬0.05〜0.1%程度)で長期積立に向く
- 18年スパンであれば短期の変動を吸収できる
- 銘柄選定に時間をかけずに済む(働きながらの運用に最適)
わが家はオルカンとS&P500を併用しています。どちらか一方に絞らない理由は、米国一極集中のリスクと、全世界の中で米国比率が下がるリスクの両方をヘッジするためです。これは正解が一つではない領域なので、各家庭で納得できる比率を選ぶのが良いと思います。
財布③:現金(高校3年間の月次キャッシュフロー)
財布③は高校3年間の「日々の費用」をカバーするための現金です。私立高校の場合、無償化されても授業料以外で年30〜50万円かかるため、月3〜4万円のキャッシュフローを確保しておく必要があります。
ここは投資ではなく、給与収入の中から月次で払う設計にします。理由はシンプルで、高校3年間は「NISAを取り崩さず継続積立できる期間」だからです。
大学が始まる前にNISAを取り崩してしまうと、複利の効果を最後の数年間で失います。高校在学中は家計のやりくりで凌ぎ、NISAは大学入学直前まで積立を続けるのがベストです。
15年タイムラインの全体図
3つの財布を時間軸で可視化すると、こうなります。
| 子の年齢 | 主な財布 | 役割 |
|---|---|---|
| 0〜15歳 | 児童手当・NISA(積立) | 種をまく期間 |
| 15〜18歳(高校) | 現金(月次CF) | 続ける期間 |
| 18歳(大学入学) | 児童手当(一括) | 初年度納付金 |
| 18〜22歳(大学2〜4年) | NISA(取り崩し) | 主力財源 |
| 22歳以降 | – | 借金ゼロで社会人スタート |
3つの財布を時期で使い分けることで、奨学金にも教育ローンにも頼らずに大学卒業まで設計できます。
📌 中学受験費用の積み立て記事との関係
中学受験(小4〜小6)を選択する場合は、高校・大学とは別の「短期集中費用」が小学校時代に発生します。中学受験の3つの財布設計については、こちらの記事で詳しく書いています。

高校3年間は「キャッシュフロー期」と割り切る
高校3年間は、NISAを取り崩さず、家計の月次収入から払い切ることを基本にしています。
無償化後でも残る月次負担
公立高校でも、授業料以外で月2万円前後はかかります。
- 教材費・副教材:月3,000〜5,000円
- 部活動費(運動部の場合):月5,000〜15,000円
- 通学定期:月3,000〜8,000円
- 模試・参考書:月2,000〜5,000円
- 食費(弁当・部活後の補食):月5,000〜10,000円
これらを合計すると、公立高校でも月2〜4万円、年間24〜48万円の自己負担が発生します。
私立高校選択時の追加負担
私立高校を選択した場合、年間で30〜50万円が追加でかかります。
- 施設費・教育充実費:年20〜40万円
- 修学旅行費:3年で15〜30万円(海外なら40万円超)
- 制服・体操服(初年度):8〜15万円
- 入学金:平均約16万円(初年度のみ)
私立高校3年間で、授業料以外の総額は100〜150万円規模になるのが一般的です。
わが家の設計:NISAは取り崩さず、月次収入から払う
ここがポイントです。高校3年間は「投資の継続期間」と位置づけ、月次収入の中で教育費を回します。
具体的には、以下の3つを徹底します。
- 固定費を見直して教育費の枠を作る(通信費・保険・電気・サブスク)
- 児童手当は使わず温存する(専用口座で寝かせる)
- NISAは積立を継続する(月1〜3万円のペース維持)
高校生になると教育費が増えるのは確実ですが、同時に「保育料」「学童」「習い事」の費用が減ります。高校進学のタイミングで家計を再設計すれば、月次キャッシュフローで賄える範囲に収まります。
高校進学時に減る費用、増える費用
参考までに、子どもが高校に上がるタイミングでの家計の変化を整理しました。
減る費用(年間)
- 学童保育費:約12〜18万円
- 習い事(複数掛け持ちの場合):約20〜40万円
- 保育園・幼稚園関連(下の子がいなければ):約30〜50万円
増える費用(年間)
- 高校学費以外の費用(公立):約24〜48万円
- 高校学費以外の費用(私立):約60〜100万円
- 通学定期・お弁当代・スマホ代:約15〜25万円
公立高校なら、減る費用と増える費用がほぼ相殺されるケースも多いです。私立高校でも、差額を月3〜4万円の家計見直しで吸収できれば、NISAを取り崩さずに済みます。
大学受験期(高3)の追加費用に備える
高校3年間で見落としがちなのが、高3後半の大学受験費用です。
- 共通テスト受験料:1万8,000円
- 私立大学受験料:1校3.5万円(複数校受験で20〜30万円)
- 国立大学2次試験受験料:1.7万円
- 受験のための交通費・宿泊費:5〜20万円(地方からの上京受験)
- 予備校・直前講習:10〜50万円
高3の1年間だけで、受験関連で50〜100万円が追加でかかります。この費用は児童手当や現金預金から計画的に取り分けておくのが安全です。
NISAを高3で取り崩し始める設計にすると、ちょうど受験費用と重なって資金繰りが厳しくなる可能性があるため、わが家は「NISA取り崩しは大学入学後から」というルールを守る方針です。
💡 高校3年間は「投資の継続期間」
NISAの最大の武器は複利です。15年積立てきた資産を、子どもが高校に上がったタイミングで取り崩し始めてしまうと、最後の3年間の複利効果を失います。子どもが18歳になる直前までは、月次キャッシュフローで凌ぎ、NISAは積立を続ける方が、最終的な資産は大きくなります。

大学4年間は「NISA取り崩し期」と設計する
大学入学を境に、家計の設計は大きく変わります。ここからはNISAの取り崩しが主力になります。
入学初年度納付金(120〜150万円)をどこから出すか
大学入学時に最初に立ちはだかるのが、初年度納付金の壁です。
- 国立大学:約82万円(入学金28.2万 + 初年度授業料53.58万)
- 私立文系:約138万円
- 私立理系:約165万円
しかも、合格発表から納付期限まで2週間程度しかありません。まとまった現金が、ピンポイントで必要になります。
ここで活躍するのが財布①の児童手当(約234万円)です。18年間貯めてきた234万円があれば、私立大学の初年度納付金を全額カバーできて、さらに70〜100万円余ります。この余り分は、2年次以降の費用に回せます。
残り3年間の授業料はNISA定期売却で計画的に
2年次以降の費用は、NISAの定期売却サービスで計画的に取り崩します。
年間120万円が必要なら、月10万円ペース。NISAの定期売却サービスを使えば、毎月自動で売却・入金される仕組みを作れます。
楽天証券の定期売却サービス活用
NISA出口戦略記事でも詳しく書きましたが、楽天証券の投信定期売却サービスは、業界唯一金額・定率・期間の3パターン全てに対応しています(SBI証券は定額のみ)。
- 金額指定:毎月10万円ずつ売却(教育費用に最適)
- 定率指定:毎月評価額の0.5%ずつ売却(老後資金向け)
- 期間指定:48ヶ月で全額売却(大学4年間に合わせて完全消化)
大学4年間を「期間指定48ヶ月」で設計しておけば、卒業のタイミングでNISA口座が綺麗に使い切られる計画的な取り崩しが可能です。
自宅外通学になる場合の生活費上乗せ
子どもが自宅外通学になる場合、学費とは別に生活費が必要になります。
- 家賃:月5〜8万円(地域による)
- 食費・光熱費:月3〜5万円
- 通信費・日用品:月1〜2万円
- 仕送り合計:月9〜15万円(年108〜180万円)
4年間で400〜500万円の上乗せです。これを最初からNISAに織り込んで設計するか、子ども本人にアルバイトで賄ってもらうか、家庭ごとの判断になります。
わが家は、まだ子どもが進路を決める年齢ではないため、「自宅外になる前提」で多めに積み立てておき、自宅通学になれば余剰分を老後資金に回す、という設計です。
学資保険ではなくNISAを選ぶ理由
ちなみにわが家は、上の子が生まれたタイミングで学資保険に加入していましたが、2022年に解約してジュニアNISA(現在は継続管理勘定で運用継続中)に切り替えました。
理由は3つあります。
- 学資保険の返戻率が103〜105%程度で、長期インフレに勝てない
- 途中解約のペナルティが大きく、流動性が低い
- 保障部分は別途、掛け捨て生命保険でカバーできる
実際、ジュニアNISAでオルカンを買い付けた結果、3年経過時点で学資保険の満期予定額をすでに上回る評価額になっています。もちろん投資は元本保証ではないので、学資保険が悪いとは言いません。ただ、インフレ環境下での長期資金として考えるなら、NISAの方が合理的だと判断しました。
取り崩しタイミングの具体設計
NISAは「いつから取り崩すか」を事前に決めておくことが重要です。わが家のルールは以下のとおりです。
- 大学入学の3年前(高2の終わり):NISA残高と必要額の最終確認
- 大学入学の1年前(高3秋):取り崩し方法・期間の確定
- 大学入学直後(4月):定期売却サービスの設定スタート
- 大学2年生4月:第1回目の取り崩し入金
- 大学卒業直前(3月):残高を整理して老後資金へリバランス
このスケジュールで動くことで、市場が不安定な時期に慌てて売却する事態を避けられます。
✅ NISA出口戦略を計画的に組むなら楽天証券
定期売却の3パターン全対応で、教育費のように「時期と金額が決まっている取り崩し」と相性が良いです。

今日から始める3ステップ
ここまで読んで「うちはもう間に合わないかも」と感じた方もいるかもしれません。ただ、行動を始めるタイミングは「今」が常にベストです。
Step1:現在地確認
まずは現在の家計の3つの財布を棚卸しします。
- 児童手当の累積額(過去分も含めていくら受け取ったか)
- NISA口座の残高(積立を始めていない場合はゼロ)
- 教育費用に確保できる現金預金
これを書き出すだけで、「あと何年で何を埋めるか」が見えてきます。
Step2:目標金額の逆算
子どもの進路想定で必要額を逆算します。完璧な予測は不要で、ざっくりで構いません。
- 想定進路:私立高校→私立文系(自宅通学)で約726万円
- すでに準備済み:児童手当残高100万円、NISA残高50万円
- 不足分:約576万円
- 残り期間:子どもが18歳になるまで12年(現在6歳の場合)
- 月次積立必要額:576万円 ÷ 12年 ÷ 12ヶ月 = 月4万円
この計算で「あと月4万円積み立てれば届く」と分かれば、家計の見直し対象が具体化します。
Step3:月次投資額の決定とNISA枠の活用
NISAの積立枠(年120万円・月10万円まで)は、教育費設計の主戦場です。
夫婦2人それぞれがNISA口座を持てるため、世帯では年240万円・月20万円まで非課税で積立できます。これだけの枠があれば、ほとんどの家庭で教育費はNISAで賄える計算になります。
つみたて投資枠の主力は、全世界株式インデックス(オルカン)かS&P500あたりが選択肢の中心です。わが家はオルカンとS&P500を併用しています。
奨学金に頼らない選択肢を子どもに残すために、今日から動く価値はあります。月1万円でも、18年続ければ216万円の元本が350万円以上に育つ可能性があります。
「今日から始める」ことの本当の意味
教育費の備えで最も惜しいのは、「時間」です。
5歳の子どもの場合、大学卒業まで残り17年。0歳なら22年。この時間軸の差は、複利の効果を考えると数百万円規模の違いになります。
たとえば、月3万円を年利5%で積み立てた場合の最終評価額(運用益込み)。
- 5年積立(13歳開始):約204万円
- 10年積立(8歳開始):約466万円
- 15年積立(3歳開始):約802万円
- 18年積立(0歳開始):約1,049万円
同じ月3万円でも、開始時期が違うだけで、最終評価額に5倍以上の差が生まれます。子どもが生まれた瞬間、あるいは今この瞬間が、最も早く始められるタイミングです。
「あと数年したら家計に余裕ができてから」と先延ばしにすると、その数年分の複利が確実に失われます。月1,000円でも、月5,000円でもいいので、まず始めることが大事です。
まとめ:無償化に頼らず、奨学金に頼らず、自分で備える
ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。最後に、本記事の要点を整理します。
- 高校・大学費用は進路によって7年間で350〜875万円。自宅外通学なら1,000万円超
- 無償化は授業料部分のみ。自己負担は私立高校で100万円超、大学でも入学金・施設費等が残る
- 制度は2024→2026年で激変。制度に依存する家計設計はリスクが高い
- 奨学金は子どもの借金(平均313万円・15年返済)。返済期間はライフイベント最多の時期と重なる
- 教育ローンは親が借りる金利3.55%の借金。家計への圧迫は小さくない
- わが家の方針:子どもに借金を背負わせないために、15年かけて3つの財布で備える
- 児童手当234万円は大学初年度納付金用に温存
- NISAは0〜18歳まで積立、18〜22歳で取り崩し
- 高校3年間は月次キャッシュフローで賄い、NISAは取り崩さない
借りる家庭を否定する記事ではありません。ただ、「借りなくて済む選択肢を持っておく」ことの価値は、子どもの社会人スタートを軽くすることにあります。
15年は長いようで短いです。今日からの一歩で、子どもの未来の選択肢が確実に広がります。
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