中学受験の費用について調べると、「3年間で200万円」「私立中に進学したら6年で1000万円」といった数字がよく目に入ります。子供がまだ5歳の私としては、こうした大きな金額を見るたびに、何から手をつければいいのか迷っていました。
たどり着いた結論は、中学受験費用は「ひとつの貯金箱」では足りないし、足りすぎることもある、ということです。中学受験するかどうかは小4で決める家庭が多く、5歳の今から「受験前提」で固めるのは現実的ではありません。かといって何もしないと、いざ受験を決めたときに月10万円の塾代が家計を直撃します。
世間の中学受験記事を読むと「とにかく早めに学資保険を始めましょう」「習い事と並行で投資もしましょう」という、家計のキャパシティを無視した推奨が並んでいます。でも実際に5歳児を育てている共働き家庭の現実は、住宅ローン・保育料・日々の生活費でカツカツです。「絶対に必要な支出」と「今は判断できない可能性のある支出」を区別せずに、すべて先回りで積み立てるのは現実的ではありません。
そこで私が組み立てたのが、児童手当・NISA成長投資枠・現金預金という「3つの財布」で備える設計図です。それぞれ役割が違い、撤退する選択肢も残せます。中学受験するかどうかが未定の5歳の段階でも、無理なく始められる現実的な構造になっています。
この記事では、3年運用したNISAの実体験と、3級FP資格保有の知識を踏まえて、5歳から始められる中学受験費用の積み立て方を、家庭の実情に合わせた現実的な配分でお伝えします。
中学受験費用の「リアルな総額」を知るところから始める

中学受験を考えるとき、最初に向き合うべきは「結局いくらかかるのか」という現実です。ここを曖昧にしたまま積立を始めると、金額が足りないか、逆に貯めすぎて他の家計を圧迫することになります。
公立中学と私立中学では3年で約300万円の差
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、中学校3年間の学習費総額は次の通りです。
| 区分 | 1年あたり | 3年総額 |
|---|---|---|
| 公立中学校 | 約54.2万円 | 約162.6万円 |
| 私立中学校 | 約156.0万円 | 約467.2万円 |
私立中学校の3年間は、公立中学校の約2.9倍にあたります。差額は約304.6万円です。私立中学では入学金・授業料・施設費などが大きく、年間100万円を超えるケースが一般的になります。
ここで注意したいのは、この数字には塾代や習い事の費用も含まれていることです。実際、公立中学校でも年間約34.9万円が学習塾費の平均となっており、3年で約100万円を塾代が占めています。
中学受験の塾代は3年で200万円超が目安
中学受験を本格的にめざす場合、塾代は学習費調査の平均値を大きく上回ります。首都圏の大手中学受験塾(SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー等)の3年間の費用は、概ね次のレンジに収まります。
- 小4(週2回程度):年間50〜70万円
- 小5(週3回程度):年間70〜90万円
- 小6(週4〜5回+各種特訓):年間120〜150万円
3年間の合計は、模試・特別講座を含めて200〜260万円が目安となります。塾によっては正月特訓・志望校別特訓・夏期合宿などのオプションが上乗せされ、家庭教師を併用すると更に増えます。
「中学受験+私立中進学」の最大シナリオ
仮に中学受験をして私立中に進学した場合、6年生の塾代と私立中3年の学費を単純に積み上げると、次のような金額感になります。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 中学受験塾代(小4〜小6) | 約240万円 |
| 受験料・併願料 | 約20万円 |
| 私立中入学金・初年度諸費 | 約50万円 |
| 私立中3年学費(初年度を除く) | 約310万円 |
| 合計 | 約620万円 |
これは「最大シナリオ」であり、すべての家庭がこの金額を支払うわけではありません。公立進学に切り替えれば総額は大きく下がりますし、地方の中堅塾を選べば塾代も抑えられます。ただ、最大値を知っておかないと、家計のキャパシティを超えた選択をしてしまう危険があります。
我が家の場合、子供は5歳でまだ中学受験するかは未定です。それでも「やる場合の最大値は600万円規模」という前提を頭に入れたうえで、3つの財布を回し始めています。
中学・高校・大学までの「総額イメージ」を持っておく
中学受験費用を考えるとき、中学校までで完結する家庭は少数派です。私立中に進学すれば、そのまま高校・大学まで私立で進む家庭が大半になります。家計設計の観点では、中学受験費用を「単発の支出」ではなく「教育費全体の入口」として捉えておくことが必要です。
参考までに、文部科学省の学習費調査をベースに進学パターン別の総額を概算すると、次のようになります。
| 進学パターン | 中学〜大学卒までの教育費総額 |
|---|---|
| 公立中・公立高・国公立大 | 約700万円 |
| 公立中・公立高・私立文系大 | 約900万円 |
| 私立中高一貫・国公立大 | 約1,300万円 |
| 私立中高一貫・私立文系大 | 約1,500万円 |
| 私立中高一貫・私立理系大 | 約1,700万円 |
中学受験で私立中に進学する選択は、その後の高校・大学進学も含めると1,000万円以上の家計コミットを意味します。この事実を知ったうえで、「3つの財布」をどう配分するかを決めるのが現実的なスタートラインです。
中学受験には「3つの時期」がある

中学受験費用を考えるとき、「全期間でいくら」という発想だけでは設計を誤ります。実際には、支出のタイミングと金額が大きく変わる3つの時期に分かれているからです。
準備期(5〜9歳):支出はまだ穏やか
子供が幼児〜小学校低学年のうちは、習い事や通信教育が中心で、月額1〜3万円の範囲に収まる家庭が多くなります。この時期は塾代の負担はほぼなく、積立に回せる余力がある最後のフェーズです。
我が家でも、現在5歳の子は習い事と公文を組み合わせて月2万円程度です。家計に余裕があるうちに、後の支出ピークに備える積立を始めています。
この時期の家計の特徴は、保育園・幼稚園の保育料負担が大きい一方で、塾代がまだ発生していないことです。家計簿アプリで確認すると、教育関連支出は「保育料+習い事」で構成されていて、収入の10〜15%程度に収まる家庭が多いと感じます。子供の成長に伴って小学校に入学すると保育料がなくなり、その差額分をそのまま教育費積立に振り向けるのが、無理のない設計です。
受験期(10〜12歳):月10万円ラインの正念場
中学受験塾は小学校3年生の2月(新4年生)からカリキュラムがスタートする塾が多いため、ここから一気に支出が増えます。
- 小4:月3万円台〜
- 小5:月5万円台〜
- 小6:月8〜10万円超(オプション込みで月15万円のケースも)
この3年間がキャッシュフローのピークになります。共働き家庭でも、月の手取りから直接10万円を捻出するのは厳しい局面です。だからこそ、準備期に貯めた財布を「取り崩し」で投入できる設計が必要になります。
進学期(13歳〜):入学金と初期投資の山
私立中学に進学する場合、入学時に大きな一時金が発生します。
| 項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 入学金 | 25〜40万円 |
| 施設拡充費・寄付金 | 10〜30万円 |
| 制服・教材・修学旅行積立等 | 20〜30万円 |
| 初年度授業料(前期分) | 30〜60万円 |
| 合計 | 85〜160万円 |
公立中に進学する場合でも、制服代や部活動費で15万円前後の初期費用が発生します。進学期は「受験期の塾代支払いが終わってすぐ」のタイミングで来るため、財布が空っぽにならない設計が肝心です。
時期ごとに役割の違う財布が必要になる
3つの時期で支出の性格はまったく違います。準備期はコツコツ積み立てるフェーズ、受験期は毎月の取り崩しフェーズ、進学期はまとまった一時金が必要なフェーズです。
ひとつの貯金口座にまとめて積み立てる方法では、この3つの局面に柔軟に対応できません。たとえば全額をNISAで運用していた場合、小6の塾代支払い時に株式相場が暴落していると、評価額が下がった資産を取り崩すことになります。逆にすべてを現金で持っていれば、相場リスクはないものの、長期運用の恩恵を一切受けられません。
支出のタイミング・確度・金額規模が違う支出には、性質の違う資産で備えるのが、家計設計のセオリーです。次のセクションで、私が組み立てた「3つの財布」の役割分担をお伝えします。
3つの財布の役割分担

中学受験費用を「ひとつの貯金箱」で備えるのではなく、性格の違う3つの財布に分けて積み立てる。これが我が家のスタンスです。
財布1:児童手当 → 受験期の塾代に直接充当
児童手当は2024年10月から制度が拡充され、所得制限が撤廃されて高校生年代まで支給対象になりました。第1子・第2子の場合、3歳から高校生年代までは月1万円が支給されます。0〜2歳は月1.5万円、第3子以降は月3万円に増額されています。
この児童手当を一切使わずに別口座に貯め続けると、3歳から15歳までで約144万円になります。0歳から貯めれば約234万円(高校卒業まで)に達し、中学受験塾の小4〜小5の2年間の塾代に、ほぼちょうど充当できる金額です。
我が家では児童手当の振込口座を生活費口座から完全に分離し、「教育費専用の現金プール」として管理しています。投資には回さず、現金で持っておく理由は2つあります。
ひとつは、児童手当の使途を「子供の教育費以外には絶対使わない」と明確化するためです。生活費口座にまとめると、いつのまにか消えてしまうリスクがあります。実際、子育て世帯の家計調査では「児童手当を生活費に混ぜている」家庭が一定数あり、教育費目的の貯蓄として残せていないという課題が指摘されています。
もうひとつは、塾代という「絶対に必要な支出」には、相場変動のない現金が最も向いているからです。NISAで運用していても、塾代の支払い時期に暴落していたら取り崩しに苦労します。元本割れリスクのない現金が、絶対支出の財源として最適です。
財布2:NISA成長投資枠 → 進学期の入学金・授業料用
5歳の子供が私立中に進学する13歳まで、運用期間は約8年あります。さらに高校・大学費用まで視野に入れれば、運用期間は13〜17年に伸びます。
この長期運用期間こそ、NISA成長投資枠の出番です。私は楽天証券のNISA口座で、子供の教育費用として年間60万円ペースで成長投資枠を活用しています。
積立先は全世界株式インデックスを中心に、円安局面で買付しているため、ドル建てでの長期成長を見込んでいます。年利4%で運用できれば、5歳から13歳までの8年で複利の効果が積み上がる計算になります。
なぜつみたて投資枠ではなく成長投資枠を使うかというと、教育費の主目的は「長期積立+特定タイミングでの取り崩し」だからです。つみたて投資枠は老後資産の積立に振り、教育費は成長投資枠で時期を見ながら買付・売却できる柔軟性を確保しています。
私のNISA枠の使い分けは次の通りです。
| 枠 | 用途 | 銘柄 |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 老後資金 | 全世界株式・S&P500中心 |
| 成長投資枠 | 子供の教育費 | 全世界株式中心+一部成長株 |
ただし、NISA成長投資枠を使う上で守っているルールがあります。
- 受験期(10〜12歳)の塾代としては取り崩さない
- 進学期(13歳以降)の私立中入学金・授業料のみを取り崩し対象とする
- 暴落時の取り崩しを避けるため、進学2年前から徐々に売却を進める
中学受験期の塾代は「相場が下がっていても支払わなければならない」絶対支出です。一方、進学後の授業料は3年スパンで発生するため、相場のタイミングを見ながら取り崩せます。性格の違う支出に対して、性格の違う財源を当てるのがこの設計の核です。
財布3:現金預金 → 緊急対応資金
3つ目の財布は、模試代・特訓代・受験料・併願料といった「想定外の上乗せ支出」と、暴落時にNISA売却を避けるためのバッファとして機能します。
中学受験では、6年生の1年間だけで以下のような上乗せが発生します。
- 公開模試:年間10万円前後
- 志望校別特訓・正月特訓:20〜40万円
- 受験料(1校2〜3万円×6〜10校):20〜30万円
これらを月のキャッシュフローから捻出すると家計が破綻するため、子供口座とは別に「教育費バッファ口座」として50〜100万円を現金で確保しています。
ここで重要なのは、この現金バッファは生活防衛資金とは完全に別物として管理することです。生活防衛資金は失職や病気に備える資金で、生活費の6か月分を確保する性質のものです。教育費バッファは「教育費の中での想定外」に充てる資金で、両者を混ぜると、いざ家計が苦しくなったときに「どっちを取り崩すか」で判断が鈍ります。
私の場合、生活防衛資金と教育費バッファは別の銀行口座で管理しています。楽天銀行に生活防衛資金、メインバンクの普通預金に教育費バッファ、という形で物理的に分けることで、用途の混同を防いでいます。
- 児童手当(現金):受験期の塾代に直接充当
- NISA成長投資枠:進学期の入学金・授業料用
- 現金バッファ:急な特訓・受験料・暴落時の緩衝材
3つを混ぜずに別管理することで、「この財布はまだ余裕がある」「この財布は足りない」が一目で分かるようになります。家計簿アプリで一括管理することは可能ですが、口座そのものを分けておく方が、無意識の取り崩しを防ぐ意味で効果的だと感じています。
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5歳から始める「中学受験を決めない積立」設計

中学受験するかは、多くの家庭で小4〜小5の段階で本格的に決まります。5歳の時点で「受験する前提」で資金を固定してしまうと、撤退したときに困る設計になってしまいます。
学資保険は中途解約のリスクが大きい
教育費の積立というと、学資保険を真っ先に思い浮かべる方もいると思います。ただ、学資保険には大きな弱点があります。
- 中途解約すると元本割れする可能性が高い
- 進学先が変わっても保険金の受取時期は固定
- 18歳満期型が多く、中学受験には間に合わない
私自身、2022年に学資保険を解約し、新NISAで運用を切り替えた経験があります。当時は元本割れになりましたが、その後ジュニアNISAで全世界株式に投資した分は、満期予定額を上回る評価額に成長しました(過去の運用実績で、将来を保証するものではありません)。
学資保険を解約した時の判断軸はシンプルで、「保障と運用を混ぜたまま続けるか、分離して最適化するか」でした。学資保険は契約者の親に万が一があった場合の保険金免除という保障機能を持ちますが、これは掛け捨ての死亡保険で代替可能です。運用部分は新NISAの非課税枠を使う方が、利回り面でも流動性面でも有利という結論でした。
学資保険は「保障」と「運用」が混ざっており、どちらの機能も中途半端になりがちです。保障は掛け捨ての死亡保険で確保し、運用はNISAで完全に分離するのが、共働き家庭にとって柔軟な設計だと考えています。
NISA成長投資枠なら「撤退可能性」を残せる
NISA成長投資枠で積み立てた資金は、中学受験をしない選択をしても、そのまま高校進学費用・大学費用に流用できます。
| シナリオ | 取り崩しタイミング | 想定支出 |
|---|---|---|
| 中学受験+私立中 | 13歳から段階的に | 私立中・高・大学費用 |
| 中学受験+公立中(失敗時) | 18歳から | 高校・大学費用 |
| 中学受験せず公立進学 | 18歳から | 高校・大学費用 |
| 中学受験せず公立中高一貫 | 18歳から | 大学費用が主 |
どのシナリオでもNISAの資産は無駄になりません。「中学受験するか分からないから積立を始めない」のが、実は一番大きなリスクだと、私は3年運用して実感しています。
加えて、2027年からはNISA売却枠の復活ルールが改正される予定です。現行は売却した翌年1月1日に枠が復活する仕組みですが、2027年からは当年中に復活するようになります。進学期に売却して教育費に充当した後も、空いた枠に追加で積み立てる柔軟性が増すわけです。教育費の取り崩しが長期にわたる中・高・大の進学期において、この改正は家計設計の選択肢を広げる材料になります。
我が家のスタンス:5歳・中学受験未定でも積立は開始
子供が5歳の現在、中学受験するかどうかはまだ決めていません。本人の興味、学習面の伸び、家計の余力、いくつもの変数があります。
それでもNISAでの教育費積立はすでに開始しています。理由は単純で、今やめておいて、いざ受験を決めたときに「お金がない」と諦めるのが一番避けたい結末だからです。
判断を先送りできるだけのお金を、判断する前に貯めておく。これが「決めない積立」の発想です。投資には元本割れリスクがありますが、教育費の積立期間が10年以上に及ぶ場合、過去のデータでは全世界株式インデックスの長期リターンはプラス圏に収まる傾向があります(過去実績で将来を保証するものではありません)。
「今は判断材料が足りないから決められない」状態のうちこそ、選択肢を残す積立を始めるべきタイミングだと、私は3年運用してきた経験から考えています。
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月いくら積み立てれば足りるか|シミュレーション

ここからは、具体的に「5歳から月いくら積み立てれば中学受験費用に届くか」を、3つのケースで試算します。
前提条件
- 子供5歳から積立開始(中学受験決定は小4・9歳と仮定)
- NISA成長投資枠で年利4%運用(あくまで想定値で、将来を保証するものではありません)
- 児童手当(月1万円・3歳〜高校生年代)は別途満額活用
- 現金バッファとして50万円を別途確保
- 物価上昇は考慮せず、現状の費用水準で試算
ケースA:公立中進学・塾は高校受験対策のみ
公立中学に進学し、中3で高校受験対策の塾に通う標準的なパターンです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 公立中3年学習費 | 約163万円 |
| うち児童手当でカバー | 約108万円(月1万×9年) |
| 残り必要額 | 約55万円 |
このケースなら追加積立は月5,000円で十分です。むしろNISA積立は「大学費用」を主眼にして月1〜2万円を積み立てる方が、長期戦略として合理的です。
ケースB:中学受験+公立中高一貫 or 失敗時の公立進学
中学受験はするものの、公立中高一貫を志望するか、私立失敗時に公立進学するパターンです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受験塾代(小4〜小6) | 約240万円 |
| 受験料・併願料 | 約20万円 |
| 公立中3年学習費 | 約163万円 |
| 合計支出 | 約423万円 |
| 児童手当でカバー | 約144万円 |
| 必要積立額 | 約279万円 |
5歳から13歳までの8年で279万円を貯めるには、月約2.5万円の積立が必要です(年利4%運用で複利効果を加味)。
ケースC:中学受験+私立中進学(最大シナリオ)
中学受験して私立中に進学する、家計負担が最も大きいパターンです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受験塾代+受験料 | 約260万円 |
| 私立中3年学費 | 約467万円 |
| 合計支出 | 約727万円 |
| 児童手当でカバー | 約144万円 |
| 必要積立額 | 約583万円 |
8年で583万円を貯めるには、月約5.5万円の積立が必要になります。年利4%運用を前提とした場合の試算です。
我が家の現実的な落としどころ
3つのケースを比べると、月の積立額は5,000円〜5.5万円まで大きく開きます。家計のキャパシティで決まる部分が大きいのですが、私の場合は「ケースBに対応できる月2.5〜3万円」を当面の目標にしています。
理由は、家計の余力を超えた積立は続かないこと、そして子供本人が中学受験を望まない可能性も十分にあることの2点です。月5.5万円を5歳から積み立て続けて、結局公立に進学した場合、「貯めすぎた資金」は大学費用に回せばいいのですが、その間に他の家計支出を圧迫するリスクは無視できません。
私は「最大シナリオに完全対応する」ことよりも、「選択肢を狭めない積立」を優先しています。月2.5〜3万円を5歳から続けておけば、小4の判断時点で「私立は無理だけど、中学受験はできる」状態を確保できる見込みです。
児童手当を投資に回す選択肢も
ケースAの試算では児童手当を「現金で塾代に充当」する前提で計算しましたが、ケースB・Cでは児童手当を投資に回す選択肢もあります。0歳から児童手当満額(月1.5万円→1万円)をNISAで運用し続けた場合、年利4%で18歳時点の評価額は約317万円になります(あくまで想定値)。
このアプローチには次のような考え方の違いがあります。
| 児童手当の扱い | 想定総額 | リスク |
|---|---|---|
| 現金で受験期の塾代に充当 | 約144万円(15歳まで) | 元本リスクなし |
| NISAで18歳まで運用 | 約317万円(想定) | 相場変動リスク |
我が家の場合、児童手当は「絶対に必要な塾代の財源」と位置づけて現金で残しています。理由は、運用に回すと「相場下落時に塾代支払い時期と重なるリスク」が読みにくく、本当に必要な支出のための資金は元本確保を優先したいからです。
ただ、中学受験を考えていない家庭や、塾代を生活費から賄える家計の場合は、児童手当を全額NISAで運用する選択肢も十分合理的です。家計状況に応じた配分が、3つの財布設計の柔軟性のひとつです。
二人目の子供がいる場合の上乗せ
我が家には0歳の下の子もいます。中学受験を二人とも考える場合、必要積立額は基本的に2倍になります。ただし、二人とも同じ年度に受験するわけではないため、家計のピークタイミングはずれる構造になります。
| シナリオ | 上の子(現5歳) | 下の子(現0歳) |
|---|---|---|
| 受験期(小6) | 12年後 | 17年後 |
| 進学期 | 13年後 | 18年後 |
下の子の積立は、上の子の進学期(13歳)以降に本格的な取り崩しが始まる時期と重なります。家族全体で見ると、上の子のNISA売却で空いた枠を、下の子の積立に回せる設計が可能になります。2027年のNISA改正で売却枠が当年中に復活するようになれば、この家族内のリレー設計がより組みやすくなります。
上記の試算は、年利4%運用が継続する前提です。実際の運用成果は相場環境により変動し、元本割れの可能性もあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。
「やらない選択肢」も含めて設計する|失敗回避の3原則

中学受験費用の積み立ては、「貯めれば貯めるほどいい」というシンプルな話ではありません。家計全体の中で位置づけを誤ると、貯めることが目的化してしまいます。最後に、私が3年運用しながら意識してきた失敗回避の3原則をお伝えします。
原則1:塾代ピーク期に「他の家計支出を圧迫しない」緩衝資金を持つ
小6で月10万円超の塾代を払うとき、他の固定費が膨らんでいると家計が破綻します。受験期に入る前に、住宅ローン・通信費・保険料・サブスクといった固定費を見直しておくことが必要です。
我が家でも、子供がまだ5歳の今のうちに、固定費の最適化を進めています。月3,000円の通信費見直しが、6年後の塾代を支える緩衝材になります。固定費は一度下げると毎月の効果が継続するため、教育費ピーク期に向けた最も確実な準備になります。
特に効果が大きいのは次の4つです。
- 通信費(格安SIMへの切替で月3,000〜5,000円減)
- 保険料(掛け捨て化と公的保険理解で月5,000〜1万円減)
- サブスク(使っていないものの解約で月2,000〜5,000円減)
- 電気・ガス(新電力切替で月1,000〜3,000円減)
これらをすべて実施すれば、月1万円以上の固定費削減が可能で、年間12万円以上が浮く計算になります。5歳から小6までの7年間で総額84万円になり、これだけで小6の塾代1年分に近い金額です。受験期に入ってから固定費を見直しても遅くはありませんが、今動けば「効いている期間」が長くなります。
原則2:中学受験への撤退判断は小4・小5で柔軟に
中学受験塾は小4の2月にスタートしますが、本格的に「やる/やらない」が決まるのは小4後半〜小5前半です。塾の宿題量、本人の意欲、模試の結果、家庭の雰囲気、いくつもの要素が積み重なります。
ここで「もうこれだけ塾代を払ったから」という理由で続行するのは、サンクコストの罠です。5歳の時点で積立を始める時から、撤退判断のラインを家族で共有しておくのが、後悔しない設計になります。
我が家では、夫婦で「小5の夏休み明けに本人と話し合って、本人が望まなければ撤退する」というラインを共有しています。それまでに積み立てたNISA資産は、高校・大学費用に流用すればいいだけです。
撤退の判断軸として参考になるのは次の3点です。
- 本人が「やめたい」と明確に言っているか
- 模試成績が下位40%圏で半年以上推移しているか
- 家庭内の雰囲気が受験で悪化していないか
このうち1つでも該当する場合は、撤退を真剣に検討するタイミングだと考えています。撤退しても、これまで蓄えた財布3つはすべて家計の他の用途に活用できます。「やめる=ゼロになる」設計ではないことが、3つの財布アプローチの強みです。
原則3:NISA枠の中学受験用配分は、暴落時に取り崩さない年齢設計
NISA成長投資枠を進学期(13歳〜)の資金に充てる場合、進学のタイミングが暴落と重なる可能性があります。リーマンショック級の暴落が来れば、評価額が半減することもありえます。
これを回避するには、進学の2年前から段階的に売却を進めることです。13歳で必要な資金なら、11歳から段階的に現金化を始めます。楽天証券には金額・定率・期間の3パターンで投信定期売却ができるサービスがあり、業界唯一の機能です(SBI証券は定額のみ対応)。
私自身、進学期に向けた取り崩しはまだ先ですが、サービスとしてどちらの証券会社に置いておくべきかという観点でも、楽天証券をメイン口座にしている理由のひとつです。
具体的な段階売却の例を挙げると、次のようになります。
| 子供の年齢 | アクション | 売却比率 |
|---|---|---|
| 11歳 | 進学期準備開始 | 投資元本の20%を売却 |
| 12歳 | 受験期と並行 | 累計40%を売却 |
| 13歳(進学直前) | 入学金準備 | 累計60%を売却 |
| 14〜15歳 | 中学在学中 | 残り40%は運用継続 |
このように段階を踏むことで、暴落タイミングと完全に重なるリスクを軽減できます。一度に全額売却するのではなく、進学期に必要な分だけを取り崩し、残りは高校・大学費用として運用継続するのが、長期視点での合理的な設計です。
✅ 教育費の積立を始めるなら、まず証券口座の確保から
NISA成長投資枠は1人につき年間240万円の非課税枠があり、5歳から13歳までの8年間活用すれば、長期運用の複利効果を最大限活かせます。楽天証券は楽天カード積立で楽天ポイントが貯まり、投信定期売却サービスも業界唯一の3パターン対応で、進学期の取り崩しまで一気通貫で設計できます。
まとめ|中学受験費用は「3つの財布」で柔軟に備える
中学受験費用の積み立ては、ひとつの貯金箱では足りないし、足りすぎることもあります。受験するかも分からない5歳の段階で大きく固めるのではなく、性格の違う3つの財布で柔軟に備える設計が現実的だというのが、私の結論です。
- 児童手当は現金で受験期の塾代に直接充当
- NISA成長投資枠は進学期の入学金・授業料用に長期運用
- 現金バッファは急な特訓・受験料・暴落時の緩衝材
そして、5歳から月2.5〜3万円程度の積立を「選択肢を狭めない金額」として始めておけば、小4・小5での撤退判断にも柔軟に対応できます。「決めない積立」を始めることが、お金で選択肢を奪われない最も確実な備えになります。
加えて、教育費の積立を成功させるための最も重要なポイントは、家計の固定費を整えることだと感じています。月1万円の固定費削減は、年間12万円・10年で120万円の差を生みます。この金額は中学受験塾の1年分に相当します。教育費の積立を始める前に、まず固定費の最適化を済ませておくと、積立を「家計を圧迫する負担」ではなく「無理なく続けられる仕組み」として運用できるようになります。
子供がまだ5歳の私自身、これからの8年でどんな選択をするかは分かりません。それでも今日から始められる積立を続けることで、未来の選択肢を残し続けたいと考えています。中学受験するにせよ、しないにせよ、積立てた財布3つはすべて子供の未来を支える資金として機能します。
最後に、私が運用している楽天証券では、NISA成長投資枠の積立から将来の取り崩しまで、ひとつの口座で一気通貫の設計ができます。投信定期売却サービスは業界唯一の3パターン対応で、進学期の段階的な現金化にも対応可能です。教育費の積立に楽天証券を活用したい方は、下記から口座開設手続きが可能です。




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